リーベルタースの憂鬱

リーベルタースは自由を司る女神。
自由の女神のモチーフと言えばお分かりだろうか。
ある日彼女は一人の男にこの上ない自由を与えてみた。
すると男は無限にある選択肢を前にあれもこれもと悩みはじめ
しまいには何も手につかなくなってしまった。
『自由を与えたのに何故…』
彼女は腑に落ちないまま男を元の状態に戻そうとした。
が誤って男の足の自由まで奪ってしまった。
戻そうとしたが興味が湧き暫く様子を見ることにした。
するとひとしきり泣き明かした男は身を起こし自由に動く手の技を磨き始めた。
やがて優秀な職人になり絵画の才能も発揮した。
『不自由とはいったい…』
彼女は男の足を元に戻した。
お詫びにまた多めに自由を与えようとした時

『水と同じじゃないかな。自由も』と背後から声がした。
『オケアノス…』
水の神は器に入った水を差し出し言った。
『限られると大事に扱い、身に余ると溺れてしまうんだよ』