ギンナンのど飴

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毎朝の通勤で気になる女性がいた。彼女に声をかけるチャンスを狙っていた。そして、第一声で彼女に好印象を与えようと、学生時代に合唱部だったM君に、声を良くする方法を相談した。
M君は得意げに、トレーニングは効果が出るまで時間がかかるからのど飴をなめながらしゃべったらよい声が出るよと教えてくれた。どんなのど飴がいいか尋ねると、「ギンナンのど飴」が強力だと教えてくれた。
季節柄、ギンナンがたくさん落ちているところを知っていたので、拾い集めて、ゆでた。ギンナンは、強烈に臭い。鼻をつまみながら、ゆでた。そして、毎朝、一粒、口に頬張って、通勤した。ある朝、彼女が、私の目の前で、ポケットからティッシュを落とした。「落としましたよ」と駆け寄ると、彼女は「違います」と言って、鼻をつまんで、電車に乗った。私は、ショックで、電車を見送った。それ以来、彼女を見かけない。
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公開:21/11/03 15:01

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