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鍋と夫婦はよく似ている。
熱々の時もあれば、冷めてしまう事もあるからだ。

「あなた、証拠は揚がっているのよ」

「おいおい、なんで証拠を天ぷらにしたんだい」

「だってあなたともっとベタベタしたかったんだもの」

「もう、しょうがないな、君は。ははは」

「うふふ」

なんて発言を横で聞かされる方はたまったものではない。
こいつらをそのまま固めてポイッと外に捨てたくなる。

また、鍋に入れる具材にも人柄が出る。
野菜、お肉、豆腐、キノコ
色々あるが肉には要注意だ。その人の人生観が出やすい。
「まあ、このお肉、なんて憎らしいのかしら。まるであの姑の様だわ」
だとか
「えっ、この家ではその程度なの。まるで私が飼っている犬の餌と同じだわ。まあ、しょうがないわよね。だってあなたは庶民ですもの」
と言う肉親同士の皮肉の言い合いになるからだ。
ああ、怖い怖い。鍋はなんて恐ろしい食べ物なんだろうか。
公開:21/11/03 11:15

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