素晴らしき10月

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祖母は薬箱を確認し、「そろそろお願いしようかね」と呟くと家の前に山盛りの柿を置く。
翌日、人の良さそうなおじさんが配置薬の確認に来た。祖母は軽くなった薬箱を手渡す。
「胃薬・風邪薬・湿布薬…結構使っていますね。補充した分の金額、こちらになります」
結構な額だが、祖母はおつりが出ないようぴったりと支払う。苦笑いを浮かべるおじさん。
「こいつに払う金はぴったりじゃないといけないよ。でないと、おつりを葉っぱで返されるからね」
おつりを葉っぱで返される?そんな狸じゃあるまいし…
「いいや。コイツは人を騙す事に長けた狸親父さ。もし、騙された時は家の前の柿に渋柿を混ぜておくといい。そうすりゃこいつも反省する」
おじさんは渋い顔をして「女狐がよく言うよ…」と吐き捨てた。

「それじゃ、来年も宜しくね」と祖母。
「また素晴らしき10月にお邪魔するよ」と山盛りの柿を持ち帰るおじさん。
いい関係だなと思った。
公開:21/10/29 20:31

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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