天地製造

4
4

人間の営みを見下ろし、神は涙を流していた。
それは感動の涙だ。
運動会で立派に走る我が子を見た親のソレに等しい。
幾多の失敗や教訓の歴史を経て
人間は無駄を排除し、効率的を求め続け世界を推し進めている。
神が創り出した頃には想像し得ない成長を遂げていた。
神は己を恥じた。
意を決し時の座を立ち上がった。
時間を遡り自らの仕事を顧みる。
ピンクの花だけで100種類もいるだろうか。
目に見えない雪の結晶に綺麗な形が必要だろうか。
同じような生物が何種類も重複しているのではないか。
『何ということだ』神は己の仕事に絶句した。
親がコレでは我が子に示しがつかないと
神は無駄と思われる所を修正していった。
『スッキリした』と再び2021年に座を戻し下界を見下ろす。
文明は消え失せ、荒廃した土地が広がる。
かろうじていた人類は毛皮を纏いマンモスの肉を頬張っていた。

創造で合っていたのかと神は嘆いた。
ファンタジー
公開:21/10/29 07:14

吉田図工( 日本 )

まずは自分が楽しむこと。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容