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「全く、俺は待つのは嫌いなんだけどなぁ」
遊園地で順番待ちの間の彼の一言。誰だって待つのは嫌いなんだけど。
「はぁ、俺寒いの嫌いなんだけどなぁ」
初詣に誘った時の彼の一言。誰だって寒いのは嫌いなんだけど。
「もう、俺は腹が減るとイライラするんだよ」
レストランで食事が中々来ない時の彼の一言。誰だってお腹が空くとイライラするんだけど。
「ええ?俺は注射が嫌いなんだけどなぁ」
献血デートに誘った時の彼の一言。誰だって注射は嫌いなんだけど。
彼は人が当たり前に嫌いな事をわざわざ口で言う。最初は可愛げがあったけど最近はうざくなってきた。
「分かったよ。じゃあな・・・」
彼に告げた別れ。背中を見つめながら理由を考えるけど、最早よく分からなかった。
「ねぇ!俺は別れるのは・・・?」
去り行く彼に問うてみた。すると彼は振り返って・・・。
「嫌いなんだけどなぁ・・・」
彼はそう言うとまた私に背中を向けた。
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公開:21/10/26 09:41

セイロンティー( Cherry Blossoms island の傍 )

初めまして。昔から小説を書くのが好きでした。ショートショートの魅力に取り憑かれ、日々ネタ探しに奔走する毎日です。
小説のコンセプトは【ドアノブの静電気くらいの刺激を貴方に】です。
皆様、どうぞ宜しくお願い致します。

※ツイッター先にて小説家になろうへのリンクあります。そちらで長編ミステリーコメディーを書いています。よろしければ、こちらもよろしくお願いします。

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