バーコードで読み取る人物像

離婚し、シングルマザーとなった私を結婚前に勤めていたスーパーは温かく迎えてくれた。事情を理解し、以前と変わらず接してくれた。
だが私がいない間にやってきた本部の男は違う。事ある毎に嫌がらせをしてくる。
今日なんて私のボーダーシャツにバーコードリーダーを当て、「君は中古品だな」と笑った。悔しくて涙が出る。
それを見た主任が男の薄い頭にバーコードリーダーを当てた。
「貴方は見切り品ですね」
主任の言葉に男は顔を真っ赤にして「誰に向かって口をきいている！お前なんてクビだ！」と叫ぶも、クビになったのは問題行動の多いこの男だった。

私は主任に恋をした。でも…私なんかが…と告白する勇気も出ない。
数か月後、主任が自身の白髪交じりの頭にバーコードリーダーを当ててくれと言ってきた。
訳も分からず読み取ると出た文字は「おつとめ品」。
「仕事しか能のない不器用な僕ですが、買ってくれませんか？」と告白された。