黒衣の医師

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「とても難しい手術になります」
「そんなっ……」

冠動脈バイパス手術。父が助かるには、この手術を成功させなければならない。

「ですが心配には及びません。うちには、黒衣の医師がいます」
「黒衣の医師……?」
「ええ。変わり者。まあ良く言えば天才肌ですが、手術の腕前は本物です。名医ですよ。安心してください」

その男は無精髭を生やし、髪もボサボサで、白衣ではなく、黒衣だ。まるでホームレスのような成りをした男だった。人を見た目で判断するのはどうかと思うが、この格好では本当に不安だ。こんな男に父の命を預けて大丈夫なのだろうか。
「ご家族の方ですか?ふわぁあー」
欠伸をしながらダルそうな声で聞かれた。
「はい」
「手術が成功したら特別報酬として用意してもらいたいものがあるんですが」
「まさか高額なお金ですか?そんなにお金は……」
「いや、なんかね。チーズケーキ食いたい気分でして」

力が抜けた。
公開:21/10/28 11:31
更新:21/10/28 11:40

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

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ブラウン・シュガー
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