素晴らしき10月

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「はい。坊やの分だよ」おじさんが僕にチャリンマスカットを手渡してくれる。
1円玉で大切に育てた貯金木のチャリンマスカット。銀色に輝く小粒が凄くキレイだ!すぐにでも入院しているお母さんに食べさせてあげよう!
そんな僕のチャリンマスカットを見て笑う奴がいる。「1円玉で育てたチャリンマスカットなんて貧乏臭い」「500円玉で育てた大粒のチャリンマスカットこそ最高の味だ」
おじさんがそいつの頭に拳骨を落とした。
「馬鹿野郎!チャリンマスカットに貴賤なんてねぇ!1円も500円も金の重みに違いはねぇ!」
そいつは意味が分からないといった顔をしている。金の重みを理解していないからだ。
僕は1円の重みを知っている。だから1円玉で育てたチャリンマスカットでもずっしり重みを感じている。
しかも今年は1円玉の量をいつもより100円分増やした。
10月が旬のチャリンマスカット。きっと素晴らしい味に仕上がっているぞ。
公開:21/10/23 20:27

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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