勉強させてください

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ある商店街で大人気の菓子店があった。店主はとても気さくな男であり、サービスも良くて客からは大変評判だった。

「すみません。これください」
「まいど!ありがとうございます。200円ね」
「はい。200円」
「あー、ちょっと待ってください……」

店主は頭に手を当てて考えた。

「すみません。勉強させてください。本来は200円ですが、180円にさせてもらいます」

そう言って店主は、どんな客に対しても勉強させてくださいと言って激安価格で商品を提供するのだった。客としてはありがたいが、この店の経営は大丈夫なのかと客から心配されるような安さだった。そんなある時、一人の学生がやってきた。

「これください」
「まいど!200円です。……いや、勉強させてください。180円に」
「僕は商業高校の学生です。その商売魂に感動しました。勉強させてもらうのは、僕の方です」

そう言って学生は、220円払った。
公開:21/10/20 11:16
更新:21/10/20 11:22

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
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・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

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ブラウン・シュガー
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