16
9

「何考えて生きてんだお前は。頭ん中真っ白なんか?」
「わぁ!真っ白!奇麗ねぇ」
・・・同じ真っ白なのに。
「だから言っただろうが!本当に甘い奴だねお前は」
「うん、やっぱり甘いんだねぇ流石だ」
・・・君だって甘いんじゃないか。なのに流石だなんて・・・。
「お前はあれだな、水みたいなもんだよ。無味無臭で居たって居なくたって何の影響もない奴だ」
「やっぱり水なんだよ。水分たっぷりだからこんなにも旨いんだね」
・・・そうだよ、水は本来有難がられる存在なのにさ・・・。
「辞めさせていただきます・・・」
辞表を出してホッとした僕は、お腹が空いたので定食屋に入った。
「お米は新米だからね美味しいよ」
運ばれてきたツヤツヤの新米を見て僕は思う。同じ新米なのにどうしてこうも扱いが違うのかね、と。
「また仕事探せばいいんだ。秋は職欲の秋とも言うし、頑張るぞ」
そう思いご飯を一口。うん、やっぱり新米は旨いや。
その他
公開:21/10/20 05:59

セイロンティー( 鹿児島 )

初めまして。昔から小説を書くのが好きでした。ショートショートの魅力に取り憑かれ、日々ネタ探しに奔走する毎日です。
小説のコンセプトは【ドアノブの静電気くらいの刺激を貴方に】です。
皆様、どうぞ宜しくお願い致します。

※XにてKindleでミステリーでハートフルなコメディ小説を販売しています!

X
https://twitter.com/K0TvdKqCqJYL1JK?s=09

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容