最高のおもてなし

彼女の作ってくれる料理に僕は胃袋を掴まれた。彼女の笑顔に僕は心を掴まれた。
そんな彼女が帰らぬ人となってしまった…
何で？どうして？彼女は僕の全てだ。彼女がいないと僕は生きている意味がない。
だから僕は決意した。彼女を呼び戻そう。
魔方陣を描いて呪文を唱える。神でも悪魔でもいい。魂でも何でもくれてやる。お願いだ。戻ってきてくれよ。
急に胸が苦しくなった。胃袋の中身が全部出てくる。
僕の喉から白い手が出てきた。彼女の手だとすぐに分かった。ああ…やっぱり彼女は僕の全てだ。彼女は僕の中にいたんだ！
僕の口からずるりと這い出た彼女は抜け殻になった僕を見て「ありがとう」と言った。どういたしまして。
彼女は僕を口にする。嬉しいよ。今度は僕が君の一部になるんだ。
彼女はきっとまた多くの人に最高のおもてなしをするのだろう。
そして僕の様に君に心底惚れ込んだ人を使って死んだとしても何度でも生き返るのだろう。