千羽鶴日記
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毎日のように、私の病室には小鳥が入ってくる。
それは窓からではなく、いつも扉からだった。扉がひとりでに開き、そこから侵入してくるのだ。ツイッターのアイコンに似たその鳥は色のバリエーションには富んでおり、赤や青色、ときには銀色まで混在していたこともある。今朝は金色が飛んで来て興奮したものだ。
しかし厄介だったのは、その小鳥たちが逃げないことだった。
来る日も来る日も出て行かない。おかげで私の病室は、カラフルな小鳥たちが飛び交う鳥類館と化していた。
でも今思えばあれは、全部幻覚だったんだな、と思う。
私はつい先程、二度目の目を覚ました。見渡すと小鳥たちは全員、消えていた。代わりに私の隣には、どでかい千羽鶴が置いてあった。
『今日で千日目。必ず目が覚めますように』
これはその、金色の折り鶴に書いてあったものだ。
まったく私の夫は、いちいち闘病生活を、千羽鶴に記録していたらしい。
それは窓からではなく、いつも扉からだった。扉がひとりでに開き、そこから侵入してくるのだ。ツイッターのアイコンに似たその鳥は色のバリエーションには富んでおり、赤や青色、ときには銀色まで混在していたこともある。今朝は金色が飛んで来て興奮したものだ。
しかし厄介だったのは、その小鳥たちが逃げないことだった。
来る日も来る日も出て行かない。おかげで私の病室は、カラフルな小鳥たちが飛び交う鳥類館と化していた。
でも今思えばあれは、全部幻覚だったんだな、と思う。
私はつい先程、二度目の目を覚ました。見渡すと小鳥たちは全員、消えていた。代わりに私の隣には、どでかい千羽鶴が置いてあった。
『今日で千日目。必ず目が覚めますように』
これはその、金色の折り鶴に書いてあったものだ。
まったく私の夫は、いちいち闘病生活を、千羽鶴に記録していたらしい。
その他
公開:21/10/17 16:09
2021年2月に、物語を考えるのが好きで始めました。
もしよければ、コメント残して頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。
追記:2021.11.14 名前を『藤崎正』(フジサキショウ)に改名しました。一応分かりずらいと思うので、旧名(セカンドオニオン)は、付け足しで残しておこうと思います。
物語.com https://monogatary.com/user_page/story/f73e9d0f-3f97-11ec-81c5-0242ac120002
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