昔の某国船長

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私が若い頃にC国から鉄源を輸入し、関西の工業地帯のローカル港に本船を接岸させた。そこで荷降ろしすれば需要家工場に、最短輸送で搬入できコストセーブになる。
メインポートの大阪を避け地方に着岸する話を、関係者が誰かに外国船が入港すると自慢したかも知れない。本船が接岸すると、黒塗りの乗用車が埠頭にやってきた。
検品に海事検定協会の検査員は必ず来るが、高級車とは誰?
背広のお偉いさん風とお付きが下車した。輸入商社の担当として駆け寄り挨拶をすると、何とその人は市長の名刺を私に差し出した。
我が街の港に初めてのC国船とは画期的だ、花束を持って来たから船長に手渡したいと。
びっくりして船長室に通すと、何と船長はそんな事聞いていないよと、パンツ一丁で出てきた。あわてて着替えたが、最初の船長の姿を見てしまった市長は大笑いだった。
何と愉快な高度成長時代だったろうと、今でも思い出すと一人笑いを禁じえない。
その他
公開:21/10/17 08:56

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