ハレの日は鉄道に乗って　４

姫路駅から列車に乗る。時刻は、23時32分。

私が乗り、列車はゆっくりと走り出した。時間が時間という事もあって、車窓からの景色はほぼ何も見えない。だが……この漆黒の持つ、何とも言えない静けさが心地良かった。

この列車の仲間は、全て姿を消した。周遊列車・貸切列車・貨物列車を除けば、真夜中に走っている定期列車はもうこの列車しか残っていない。
これは、真夜中を楽しむ事のできる唯一の列車なのだ。

部屋に入って座ってから、私はほとんど動かず……窓の外を見続けたまま、三ノ宮駅に着いた。0時10分。
次の大阪駅には、0時31分着。その後は4時38分の静岡駅着まで、乗降する乗客が誰もいない中、この列車はひたすら突き進むのだ。



だが、私はその旅路を見届ける事は叶わない。
もちろん、この部屋で眠る事も。



……1時41分。
私は｢サンライズ瀬戸・出雲号｣を降り、米原駅の漆黒の一部となった。