神の居ぬ間に

11
7

神去月の十月、八百万の日本の神々は出雲大社へ渡り、全国の神社は空き社(やしろ)となります。
とは言え、ひと月も神様が不在だと困ります。各社では留守居神として、境内の狛犬様、稲荷様など神使(しんし)の皆様が、神様業を代行されると決まっております。

ある年、東京は渋谷の某所でお勤め中の留守居神様は、かねてよりの計画を実行すべく、渋谷中の社を密かに訪問し、留守居神様たちに協力を募りました。
コロナ禍で渋谷の人出も大いに減り、年に一度の晴れ舞台が、このままでは不本意な結果に終わってしまうと危惧されたのです。

最先端の街だけあって、ノリと勢いの良い渋谷の留守居神様たちは、快く賛同下さいました。
十月の最終日、例年になく早い紅葉を迎え、オレンジに彩られた渋谷の街を見渡し、ハチ公大明神(代理)様は、満足げに銅の尻尾を振られました。
そしてご自身も頭に落ち葉を貼り付け、ハロウィンの南瓜に扮したのです。
ミステリー・推理
公開:21/10/18 19:07
月の音色 月の文学館 テーマ: 素晴らしき10月

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
https://amzn.to/32W8iRO

ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.12執筆参加
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞受賞

いつも本当にありがとうございます!

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容