針金ハンガー

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「もっとさあ、左右の肩をすぼめて、左に斜め45度に捻らないと肩は抜けないよ。
何度言ったらわかる?」
「すいません。もう一度最初からお願いします。」
エスパー紀東さんの指導は厳しい。
所謂「肩を抜く」と言われる技なのだが、日本でもこの技が出来るのは指折り数える程しかいない。
エスパーさんはこの道の頂点に君臨する人である。  
この人から直々に指導を受けられるなんて夢にも思わなかった。
そう、この「肩を抜く」をマスターすれば、針金ハンガーくぐり抜けが完成するのだ。
「左出来たね。右に125度いっちゃいなよ。」
(これで両肩が抜ける。)
右に100度ぐらい捻りを加えた所で、「グキッ」という鈍い音がした。
その時、目が覚めた。夢だ。でも、身体が動かない。
(またいつもの金縛りだ。)
でも、両肘が痛い。針金ハンガーがガッチリと食い込んでいた。
(うーん、どうしよう。エスパーさんしか外せないよ。)
ファンタジー
公開:21/10/14 14:55

ひまわり広場( 神奈川県川崎市 )

産婦人科専門医/指導医
@sanadakuma
tama-himawari3w.com
身体は日々の食事で出来ている。
妊婦さんにも食事の重要性について情報提供しています。
ダイエット中の方々にも食事・睡眠・運動の重要性について情報発信しています。
自身が「愛着障害」であることに気付き、もう一人の自分と上手に共生しています。
自分が、自分の『安全基地』になることが生きていくための拠り所なのかもしれない。
科学的な視点からの表現も交えて、ショートショートストーリーを作っています。

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