最高のおもてなし

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百歳で私は死んだ。我ながら大往生だと思う。だが、いざ霊魂となるとこの世から去るのが怖くなった。
だから私は「死にたくない!」と子供の様に駄々をこねる。
そんな私の肩に誰かそっと触れた。
振り返るとそこにいたのは困り顔の若き日の母。「もう帰るよ」
驚いた。だって私も若返っている。幼い姿で公園の遊具にしがみつき、「まだ遊んでいたい」と口にした。
母はそんな私の手を取って「今夜カレー作ってあげるから」と笑った。
母の言葉に嬉しくなり、私は母の手を握り返すと家路へとついた。

…やられた。私の前には78歳で亡くなった母が78歳の姿で座っている。まさか死後、私を迎えに来たのが母とは思わなかった。
そして私は今、百歳の姿で母のカレーを食べている。
「最高のおもてなしでしょ」と悪戯っぽく笑う母。
食後、母は席を立った。これから来世へと向かうらしい。
そんな母の背に私は「いってらっしゃい」と言ってやった。
公開:21/10/13 20:48

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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