大物政治家

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長年政権の中枢に君臨し、政界のドンと呼ばれる大物政治家がいた。
物事に動じず大胆不敵、辣腕を振るうことで知られていたが、地方遊説中に宿泊していたホテルの自室で突然亡くなった。
秘書の連絡で救急隊と警察官が現場に駆けつけたところ、急な心臓発作だったようだ。
数々の修羅場をくぐり抜けた大物政治家があっさりこの世から去ったことから、政府与党では衝撃が走り、野党などに政敵も多かったことから、暗殺説まで真しやかに囁かれた。
そこで、事件性がないか、念のため科学捜査研究所が大物政治家の死体を解剖することになった。
〈いったい大物政治家の身に何が起こったのか、皆さんも推理してみてください〉
解剖の結果、大物政治家の心臓にはびっしりと毛が生えていて、その毛が心臓に絡みつき強く圧迫したことが死因だと断定された。
他の部位も調べたところ、強靭な肉体で骨太、肝臓はどっしりと据わっていて、神経が異常に図太かった。
ミステリー・推理
公開:21/10/16 07:05
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SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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