レッスン

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「うらめしや~。」
「違う。そうじゃない。手はもっと、上。で、指先はちゃんと伸ばす!わかった?」
「はい!!」
「じゃあ、もう一度!!」
「うらめしや~。」
「真面目にやってる?そんなんじゃ、いつになってもデビューできないわよ。」
「すいません。」
「もう一度!!」
「うらめしや~。」
「もっと、感情込めて。ちゃんと表情も作って。そんなんじゃ誰も怖がらないわよ。現代人は幽霊に簡単に怖がらないんだから。特に我々みたいな着物姿の古いタイプの幽霊にはね。だから伝統の技術と技で勝負するの。それができなければ生き残れないの。わかった?まあ、幽霊だから、もう死んでるんだけどね。」
「えっ。」
「だからね、幽霊なのに生き残れないって、可笑しいでしょ。ギャグよ。あなた、少しは気を遣って笑いなさいよ。」
「すいません。」
「あっ、今の表情良かったわ。じゃあ、もう一度。」
レッスンは、まだまだ続くのであった。
ホラー
公開:21/10/15 15:22
更新:21/10/15 15:23

ソフトサラダ( 埼玉 )

時折、頭をかすめる妄想のカケラを集めて、少しずつ短いお話を書いています。コメントは励みになります。

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