虹の端っこ

4
2

雨上がりの空を見上げると、太陽が雲の切れ間から顔を出し、私の顔を眩しく照らした。
東の方へ視線を移すと、大きな長い虹がかかっていた。
(あ、虹だ。早くしないと。)
私は慌てて虹の端へと向かった。
(まだ、虹は消えていない。はっきり出ている。大丈夫だ。)
虹の端にはすでに長蛇の列が出来ていた。
(うわー、みんな早いな。)
長蛇の先頭には、煙突から虹を出している1軒のお店があった。
そう、ここは知る人ぞ知る「虹のバームクーヘン屋」であった。
実は虹の正体はこのバームクーヘンを焼く時に煙突から出る七色の煙であった。
このバームクーヘンはいわゆる端っこでわけあり商品。
中はしっとり、外側は七色のクリームでコーティングされてカリカリだ。
程良い不思議な甘さに虜になってしまう。
当然、数量限定だ。
なんとか最後の1個を手に入れた。
空を見上げると虹は消えていた。
(あぁ、また、虹出ないかな。)
ファンタジー
公開:21/10/12 07:38

ひまわり広場( 神奈川県川崎市 )

産婦人科専門医/指導医
@sanadakuma
tama-himawari3w.com
身体は日々の食事で出来ている。
妊婦さんにも食事の重要性について情報提供しています。
ダイエット中の方々にも食事・睡眠・運動の重要性について情報発信しています。
自身が「愛着障害」であることに気付き、もう一人の自分と上手に共生しています。
自分が、自分の『安全基地』になることが生きていくための拠り所なのかもしれない。
科学的な視点からの表現も交えて、ショートショートストーリーを作っています。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容