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永遠に続く長い監獄を彷徨っているようでした。視界は暗く、何も見えない。私の体は、動かす事は出来ず、でも意識だけは、はっきりとしている。耳は聞こえる。足音が聞こえる。誰かがせわしなく動いでいるようだ。嗅覚もかろうじて機能している。僅かにツンッとくる消毒液の匂いが、私の鼻孔をくすぐる。私は、何があったのかを振り返る。ぼんやりとした記憶の断片をゆっくりとひとつずつ思い出していき、少しずつ記憶が蘇ってくる。

私の名前は、相葉優香。仕事は、銀座のホステスをしている。あの日、私のパトロンである弁護士の先生に同伴を頼まれて、腕を組んで一緒に歩いて店へと向かっていた。その時、歩道にトラックが突っ込んできた。私達は巻き込まれて病院に運ばれた。

私は罪を犯した。私は先生と組んで、銀行の架空口座を作って脱税に加担していた。これは、私が罪を犯した事への罰。ここはきっと監獄なのだと、ベッドの上で思うのだった。
公開:21/10/11 11:15

富本アキユ( 日本 )

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