駄菓子屋

　僕は十数年ぶりに小学生のときによく行っていた駄菓子屋に足を運んだ。店長のおばあちゃんは僕を覚えてくれていた。
　僕は昔、よくここで万引きをしていた。200円分を普通に購入し、50円分はポケットやリュックへ入れていた。周りには万引きがばれて叱られている奴もいた。叱られる程度で済んでいたことに時代を感じるが、僕はそんな子より自分が賢いと優越感に浸っていたし、クライムサスペンスに出てくるような完全犯罪を自分が達成していることに興奮していたのだと思う。本当に馬鹿で最低な子供だったなと思う。
　ヨッシーはこのグミが好きだったな。このチョコで大当たり引いたことあるな。そんな懐かしい記憶を追いかけながら駄菓子を小さいカゴに入れていく。
「たくさん買ってくれたわねえ。全部で460円です」
「はい、久しぶりでたくさん買っちゃいました」
「でもこれ以外にポケットに何個かお菓子入れているでしょうアナタ」