年の功
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大工の助八と格三、夜遅くに将棋を指していたのだが、名人戦よろしく大熱戦になってしまった。
「これじゃ明日に差し障るから」と盤面と駒台の内容を紙に写し、明日に持ち越す事にしたまでは良かった。
翌日、仕事が終わって「さあ勝負はこれからだ」と息巻いたは良いが……紙に手番を書いておかなかったのがまずかった。二人とも、どちらの手番だか覚えてない。
しかも二人とも、盤面を見ただけではどちらの手番だか分からない。さあ困った。
「ここは、お前の手番で良いよ」
「違うぜ、ここはあんたの手番だ」
こんな調子で、小半時が経った。これでは埒があかないので、結局、助八が年上の格三に手番を譲る事にした。
「じゃあ、遠慮なく……」
そう言って格三は角を動かすと、助八の玉をひょいっと取り上げてしまった。
「あっ……」
「王手見逃しで、俺の勝ちだな」
「……流石は年の功だねえ、格三さんには敵わねえや」
「これじゃ明日に差し障るから」と盤面と駒台の内容を紙に写し、明日に持ち越す事にしたまでは良かった。
翌日、仕事が終わって「さあ勝負はこれからだ」と息巻いたは良いが……紙に手番を書いておかなかったのがまずかった。二人とも、どちらの手番だか覚えてない。
しかも二人とも、盤面を見ただけではどちらの手番だか分からない。さあ困った。
「ここは、お前の手番で良いよ」
「違うぜ、ここはあんたの手番だ」
こんな調子で、小半時が経った。これでは埒があかないので、結局、助八が年上の格三に手番を譲る事にした。
「じゃあ、遠慮なく……」
そう言って格三は角を動かすと、助八の玉をひょいっと取り上げてしまった。
「あっ……」
「王手見逃しで、俺の勝ちだな」
「……流石は年の功だねえ、格三さんには敵わねえや」
その他
公開:21/10/12 22:16
気まぐれで始めた事です。
気まぐれで終わって、多分それっきりになると思います。
……さて、いつまで続くか。
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