6
1

「何かあるんですか?」
「この部屋は事故物件というやつでして、相場よりもお安く提供させて頂いております」
「何か怪奇現象が?」
「足音が聞こえるんですね」
「それだけ?」
「はい」
「よし、じゃあこの部屋にします」

俺は格安の条件で、事故物件に引っ越した。足音が聞こえるらしいが、俺に霊感なんてない。問題ない。

ドタドタドタ……。
引っ越したその日の夜、誰かが部屋を走り回る音がした。

「うるせぇ!!眠れないじゃねぇか!!静かにしろ」

しかし足音は、止まらなかった。翌日、俺は夕食を作ってテーブルに並べた。

ドタドタドタ……。
そして足音は、テーブルの前で止まった。

「ん?なんだ?お前も欲しいのか?」

それから俺は、二人分の食事を用意するようになった。

「……がとう。……ありが……とう」

初めて見た幽霊は、小さな女の子だった。こうして幽霊の少女との奇妙な共同生活が始まった。
公開:21/10/12 11:28

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

https://youtu.be/frouU2nCPYI

・魔法のiらんど大賞2021小説大賞。大人恋愛部門「彼女の作り方」が予選通過

〇サウンドノベルゲーム版作品(無料プレイ可)

ブラウン・シュガー
https://novelchan.novelsphere.jp/38739/

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容