最新式

　ネットで「魔法の絨毯」が売られているのを見つけた。
　なんとも珍妙な名前だが、ペルシャやらネパールのどこか山奥で、一針一針、長い年月をかけて作っているらしい。
※職人が魂を込めて縫っています。そのため、取り扱いは繊細に
　注意書きを見るに、よほどいい品なのだろう。私は早速注文した。

　待ちかねた品が届くと、私は浴室の外にそれを敷く。そうそう、バスマットが欲しかったのだ。
　しかし使い心地は低評価。吸水性があるようには感じられないし、心なしか濡れた足で踏みつけると、抵抗するかのように、裾がぱたぱたと動いているような気もする。
　
　ある朝のこと、シャワーを終えて風呂から出てみると、足を拭くためのそれはどこかに消えていた。見れば、開けっ放しだったリビングの窓の外に、ゆうゆうと空を飛ぶあの絨毯の姿があるではないか。
　私はいたく感心した。
「最近は商品の方にも、クーリングオフ制度があるのか」