出会った男性恐怖症と女性恐怖症

2
1

私は男性が苦手だ。声が低くて怖い感じがするし、大きな声だし、力も強いし暴力的だったりもする。私は男性恐怖症だ。
ある時だった。職場の中途採用で新しく30代の男性が、うちの職場に入社してきた。見た目は色白で、指先はピアニストのように細い。

「き、き、きょ、今日から入社する事になりましたた、たた高木です。よ、よろしくお願いします」

彼は、ガチガチに緊張して挨拶した。高木さんの研修を私が担当する事になった。しかし彼からは、全く男っぽさが感じられなかった。だから普通に接する事ができた。

「あ、あの……吉田さん……」
「はい?」
「こ、ここはどうすれば……」
「ああ、そこはね――」

だが彼は、いつまで経っても私に対して緊張していた。

「いつも思うんだけどさ、そんなに緊張しなくていいよ」
「す、すみません。ぼ、ぼ、ぼ、僕……女性恐怖症なんです」

彼の突然の告白に、男性恐怖症の私も驚いた。
公開:21/10/10 10:47

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

https://youtu.be/frouU2nCPYI

・魔法のiらんど大賞2021小説大賞。大人恋愛部門「彼女の作り方」が予選通過

〇サウンドノベルゲーム版作品(無料プレイ可)

ブラウン・シュガー
https://novelchan.novelsphere.jp/38739/

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容