忙忘の湯

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日々の仕事に忙殺され、身体的、精神的にもヘトヘトな私は予約していた老舗旅館に週末やって来た。
そこは、都会の喧騒を離れ、落ち着いた佇まいの自然に囲まれた所だった。
夕食はもう少し後なので、早速、温泉浴場へ出掛けてみる。
内湯はタイル張りの長方形の浴槽で、お湯は無色透明の単純アルカリ泉。
美肌効果も期待できる。泉質もぬるぬるした感じ。
外湯は露天で、丸くて大きな檜風呂があった。
内湯とは違って、やや乳白色の泉質で少し熱く感じる。
そこには立て看板があった。
「忙忘の湯」
(ぼうぼうのゆ?でいいのかな。)
効能にはこう書いてあった。
忙しいという漢字は心を亡くすと書きます。
日々の仕事があなたの心を窮屈にしています。
この湯に浸かればあなたの心を開放してくれます。
(あぁ、心が解放される。)
ゆっくりとこの湯に浸かっていると心が温まり忙殺な日々で疲れ果てた私の窮屈な心を忘れさせてくれた。
ファンタジー
公開:21/10/07 07:26

ひまわり広場( 神奈川県川崎市 )

産婦人科専門医/指導医
@sanadakuma
tama-himawari3w.com
身体は日々の食事で出来ている。
妊婦さんにも食事の重要性について情報提供しています。
ダイエット中の方々にも食事・睡眠・運動の重要性について情報発信しています。
自身が「愛着障害」であることに気付き、もう一人の自分と上手に共生しています。
自分が、自分の『安全基地』になることが生きていくための拠り所なのかもしれない。
科学的な視点からの表現も交えて、ショートショートストーリーを作っています。

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