レジ袋プラネタリウム

6
3

「プラネタリウム」と黒いマジックで書かれたスーパーのレジ袋を拾う。
仕事場の近所の公園で、ベンチに座ろうとした時だった。
ベンチに座って、袋の中を覗き込む。
中は、空っぽだった。
なーんだと捨てようとしたとき、風がフーっと吹いてきた。
そのまま、レジ袋が頭にかぶさってきて、顔に張り付いた。
一瞬、目の前が真っ暗になった。目を開けると、満天の星空が目に飛び込んだ。
昼間に星空なんて、プラネタリウムしかない。
そうか、そういうことだったのか。
いや、感心して、星空をゆっくり見ているわけにはいかない。顔に張り付いた袋が離れない。困った。
レジ袋は、薄いのだから、透けて見えるかもしれない。
目を凝らすと、公園の景色、道路が薄暗い中でも分かった。なんとか仕事場まで歩けそうだ。
とにかく、仕事場に帰って、同僚と相談して、レジ袋をはがす方法を考えよう。
その他
公開:21/10/06 15:18

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容