笑ったのはどちらのこころ

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みんながぼくを見ている。ちょっと恥ずかしくなったけど、もう一度、机を叩いた。
「どうしたんですか」と先生が聞いた。
「先生が先に叩いたから。道徳や社会で、人はみんな平等だっていってた」と答えたら、先生は無言で黒板の続きを書き始めた。授業が終わると先生は「放課後残っていなさい」と僕に言った。

教室で待っていると、先生とお父さんがやって来た。先生は僕の正面に座り、お父さんは僕の隣に座った。お父さんが「すみません」と謝ると、先生も謝った。
だけど先生の隣は空いたままだった。
「先生のお父さんはまだですか」と聞いたら、隣から平手が飛んできた。

次の日、僕は教室に残った。
「帰らないのか」と聞かれたから
「先生が先生のお父さんに打たれるまで帰りません」と言ってやった。
先生は日誌を閉じて立ち上がると
「既におあいこだ」と言って、教室から出ていった。
ドアの窓から見えた先生は少し、笑っていた。
公開:21/10/08 13:57

太郎犬( 日本 )

読書量も文章力も想像力もまだまだですが、ちょっとずつ投稿していきます。
コメントいただけると嬉しいです。
 

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