豆移し

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これは一体どういう状況なのか。私は今、背中に銃口を押し付けられている。生命の危機が迫っている事だけは分かる。ここは逆らわず、大人しくヤツの言う事に従った方が得策であろう。

「そこの机の前へ出ろ」

私は恐怖で足を震わせながら、机の前へとゆっくり歩く。

「いいか。変な真似は考えるな。もし抵抗すればお前の体に穴が開くと思え」

私は頷き、ヤツに手の縄を解いてもらう。

「左側の皿の上に小豆が乗っている。この小豆を箸を使い、右側の皿に落とさないように移せ。もし落としたらお前の体に穴が開くと思え」

カチャッと銃口を背中に押し当てられる。

「こ、こんな事に何の意味が……」
「暇潰しさ。お前の家族が身代金を用意するまでのな。気が変わったのさ。お前の命を助けるか助けないか。この豆移しで決めよう。どうだ、面白い余興だろ?」

命を賭けた豆移しが始まった。
私は手を震わせながら必死に豆を移す。
公開:21/10/08 10:53

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
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・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

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ブラウン・シュガー
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