漂流

高層マンションの最上階に住んでいると時折、変わったものがベランダに流れ着いてくる。
今日は白が流れ着いていて驚かされた。まさに漂白…と呟き白を手に取る。
穢れを知らぬ真っ白なそれは美しい心だった。
大人のものではないな。きっと子どものものだ。学校の授業中、教師の話を聞き流し、うわの空で流れる雲を眺めているのだろう。この心の持ち主は今、心ここにあらずと言った状況かな？
しかし心がないと困るだろう。さて、どうしたものか？交番に届けても良いものだろうか？
悩んだ末、いつものようにマンションの掲示板に『真っ白な心、預かっております』と書いた紙を貼った。
これが一番効果的なんだ。
先日、星が流れ着いていた時もこうして持ち主を探した。
すぐに「夜空の空白に星を投げて下さい」と回答があったので昨夜、空に向けて投げると星はすっぽりと収まった。
去年なんて赤が流れ着いた時は持ち主が愛の告白して困らされたよ。