悲縛り

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メロが死んだ。私が飼っていた犬だ。メロは、私が生まれた年に生後三ヶ月で我が家にきた。私と一緒に生まれ育ってきた兄弟のような存在の犬だった。メロは、小4の春に死んだ。

「うっ……ううっ……メロ……」

私が十一年生きてきた人生の中で最も悲しい出来事だった。涙が枯れるまで泣いた。夜、私は泣き疲れて眠りについた。

……えっ?
か、体が動かない!?

私は悲しすぎて悲縛りになってしまった。そのまま体が動かないまま、長い時間が経った。

「そんなに悲しいならメロの元へ連れていってあげる」

そこに現れたのは、この世の者とは思えない醜い姿をした化け物だった。死神?
私に悲縛りをかけたのは、この化け物だ。

「嫌っ!!行きたくない!!私はメロの分も頑張って生きるんだ!!」
「ワンッ!!」
「えっ!?メロ!?」

メロが化け物に嚙みついた。
化け物は姿を消した。私の体は、スッと動くようになった。
公開:21/10/04 23:49

富本アキユ( 日本 )

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・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

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