最高のおもてなし

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「ようこそいらっしゃいました貧乏神様。どうぞこちらへ。この宿で一番高い部屋をご用意致しました」
意外かもしれないが今、貧乏神である私は引く手数多の大忙しの存在だ。暫くここに滞在した後、すぐに次の宿へと向かわなくてはならない。
いやはや…ほんの百年ほど前は嫌われ者だった私が今、こんなにも人気者になるとは予想もしていなかった。
案内された部屋には沢山の掛け軸が架けられてある。
『老後の為に貯金』『我慢第一』『まずは食費から削る』
それらを見て、ため息を吐いた。私が泊まっている宿主…相当なドケチだな。
宿主の目から外を見る。ミニマリストが度を過ぎている。こんな生活、何が楽しいんだ!
『今を楽しむ程度に散財』『健康第一』『まずは食事で体を作る』
掛け軸を全て書き変えてやった。
まったく…今どきの人間は金を使わなさすぎる。まずは自分磨きから。自身に最高のおもてなしをしないから宿主…人間は潰れるんだ。
公開:21/10/04 20:49

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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