2
3
備えあれば憂いなし…母の口癖が脳裏に蘇る。
「葬式には行くから」と喉を絞ると
一度も見舞いに来なかった弟に怒気を隠さず当たり前よ姉は一方的に電話を切った。
10年ぶりに帰る故郷は思ったより変わっていなかった。
母とよく行ったパン屋もそこにあった。ガラス越しに自分の姿が映る。
すぐそこの実家が遠く感じた。
母の名の書かれた葬儀看板を横切り玄関を開けた。
慌ただしく動く人の気配が一瞬止まる。
「あの…どちら様?」
「…晶です」
駅のホーム。左頬に火照りが残る。
あの後は余り記憶が無い。想像してた事が起こった。
右手の封筒に意識がいく。駆け出す私に姉が強引に握らせた。
母からの手紙。
そこには名前の由来について認めてあった。
父は男らしい名前を提案したが母が譲らなかったとある。
どんな生き方になっても自分を捨てず、胸を張って生きてほしいと。
涙道を髪で隠した女性が凛とホームに立っている。
「葬式には行くから」と喉を絞ると
一度も見舞いに来なかった弟に怒気を隠さず当たり前よ姉は一方的に電話を切った。
10年ぶりに帰る故郷は思ったより変わっていなかった。
母とよく行ったパン屋もそこにあった。ガラス越しに自分の姿が映る。
すぐそこの実家が遠く感じた。
母の名の書かれた葬儀看板を横切り玄関を開けた。
慌ただしく動く人の気配が一瞬止まる。
「あの…どちら様?」
「…晶です」
駅のホーム。左頬に火照りが残る。
あの後は余り記憶が無い。想像してた事が起こった。
右手の封筒に意識がいく。駆け出す私に姉が強引に握らせた。
母からの手紙。
そこには名前の由来について認めてあった。
父は男らしい名前を提案したが母が譲らなかったとある。
どんな生き方になっても自分を捨てず、胸を張って生きてほしいと。
涙道を髪で隠した女性が凛とホームに立っている。
その他
公開:21/10/03 13:22
まずは自分が楽しむこと。
ログインするとコメントを投稿できます