そうめんポーカー(超ショートショートコンテスト落選作 そうめん)

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「ママ、何も食べたくない」
「うーん、困ったわね。熱も下がらないし、食べないわけにはいかないし」
ぼんやりお庭をながめていたら、ママがお盆をもって現れた。
「そうめんなら食べられる?」ううん、軽く首を振る。
「じゃあゲームしない?」
「ゲーム?」
「ポーカーよ。ルールは知ってるでしょう。今回はポーカーに負けた人がそうめんを食べるの。お椀に一口くらいしか入ってないから大丈夫。賭け事は依存症になるからよくないんだけど、今日はおやすみだし特別。ね?」
わたしはうんと頷いた。

四杯くらい食べたかな。もうおなかいっぱい。わたしにたくさん栄養をとってほしくて、ママはこのゲームを提案したんだろうな。優しいママ。大好き。
おなかいっぱいになったからかな。眠くなってきた。
「もうおねんねしていい?」
「まだまだぁ!」
母親がまっ赤な顔で五十八杯目のそうめんを食べながら鼻息荒くこう叫んだ。
「もう一勝負!」
その他
公開:21/09/30 21:45
更新:21/09/30 21:48

牧原加奈( 大阪府 )

牧原加奈です。
よろしくお願いします。

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