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遅刻だ、と目が覚めて、私は急いでパジャマを脱ぎ、なめこパイを焼きながらシャワーを浴びた。ふと玄関を見ると靴がない。そうか、私はまだ会社から帰っていないのだと気がついて、残業で会社にいるならあわてて出勤する必要はないと安心したものの、夜が明けても残業している私が心配になって、私は私に電話をかけた。すると電話口の私は、所属しているなめこ課の床に遺跡が見つかったから発掘が終わるまでは動けないと言う。私は私に帰るようにすすめたけれど、遺跡はなめこ課全員の足やお尻にも繋がっていると聞き、あきらめて電話を切った。
私はなめこパイをひとりで食べた。私だけの、ほかの私がいない食卓。やがて帰ってきた私がひとりでなめこパイを食べた私を責め、私たちは揉みあいになった。揉みあううちに融合が進み、あとの私も不思議となめこパイを食べたような気がしてくる。どれだけ分裂しても胃はひとつしかない。携帯電話は12台あるのに。
公開:21/09/30 19:45

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