おなかすいた

3
1

娘は三歳になった。よく遊び、よく食べる子だ。このまま元気に育って欲しい。

「ママ。おなかすいた」
「今作ってるからもう少し待っててね」

もう午後三時か。

「ママ。おなかすいた」
「うん、じゃあお菓子食べていいよ」
「ママ。おなかすいた」
「えっ?さっき食べたでしょ?」

まだ十分しか経ってない。お菓子が足りなかったのかと追加を与えても、娘はずっと「おなかすいた」と言い続けた。何だか体がおかしいんじゃないか。心配になった私は、小児科に連れて行って検査を受けさせた。

「こ、これは……!!」
「せ、先生。娘は何かの病気なんですか……?」
「いえ、娘さんは鉄の胃袋を持っています」
「鉄の胃袋?」
「はい。最近、大食い選手の胃袋を研究した論文がありましてね。これは大食い選手特有の鉄の胃袋で間違いないです」

娘は病気ではなく、鉄の胃袋の持ち主だった。むしろ病気どころか強い胃袋を持っていた。
公開:21/09/30 11:52

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

https://youtu.be/frouU2nCPYI

・魔法のiらんど大賞2021小説大賞。大人恋愛部門「彼女の作り方」が予選通過

〇サウンドノベルゲーム版作品(無料プレイ可)

ブラウン・シュガー
https://novelchan.novelsphere.jp/38739/

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容