最高のおもてなし

0
2

「こういう店来たかったの」と母。「注文すれば何でも作ってくれるのか!」と父。両親は凄く嬉しそうだ。
一度食べてみたかった料理。もう一度食べたい料理。次々と運ばれてくる。
僕はそれを見てへの字に口を曲げた。この店は何か嫌だ。
「おいしいわよ」と母。「何でも注文していいぞ」と父。
確かにこの店は最高のもてなしをしてくれる。だけど僕はここで食べる料理より、家で食べる母の手料理が食べたかった。
「僕、先に帰るね」と言って店を出ようとする。両親は尚も料理に夢中だった。溜息を吐き、店を出る。

『先生!子供が目を覚ましました!』
気付けば僕は病院のベッドで寝ていた。
『落ち着いて聞いて欲しい。君達が乗った車だが…事故に遭ったんだ。それで御両親は…』
医師の説明に全てを察した。あの店は人生最後の晩餐を出す店だったんだ…
僕は目を閉じた。今ならあの店に戻れそうな気がする。今度は最高のもてなしを受けよう。
公開:21/10/01 20:46

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容