筋金入り

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「先生、ぼくは本当に事故にあったんですよね」
 病院の一室で、ある男が医者と話をしていた。
「まったく驚くべきことだと思います。誰がどう見ても、助かりようのない事故でした」
「だけど、ぼくの体はこの通り傷一つない」
 男は信じられないといった面持ちで、自分の体を触る。
「幸運だった、ということでしょうね」
 医者の言葉に、男は納得がいかないといった口ぶりで答える。
「幸運といっても、さまざまな種類があると思うんです。金銭運に恋愛成就、無病息災……」
「確かにその通りだ。もしや、なにか心当たりでもおありで?」
「自慢じゃないんですが、昔から当たり付きの駄菓子やアイスを外したことがないんです。最近ではSNSの商品無料キャンペーンなんかには必ず当選しますし」
「なるほど。ではこれを見てください」 
 医者はレントゲン写真を指さした。男の体を支えるまっすぐな背骨。そこには「あたり」の3文字が……。
その他
公開:21/10/01 15:06
更新:21/10/01 15:06

はつみ

現実世界の2次創作
誰かに教えたくなるような物語を書きたいです

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