リスクマネジメント（超ショートショートコンテスト落選作　そうめん）

『なぜリスクマネジメントをしないのだ。会社の阿呆どもめが』
ぶつぶつ呟きながら帰宅すると玄関先に地蔵が座っていた
「わしはありがたい地蔵じゃ。わしをあがめ奉っておくと、いざというときお前さんの助けになろう」
「いざというとき、か」
石の地蔵が喋っているのだ、霊験はあらたかなのだろう
これもリスクマネジメントか
「よし入れ」
こうして地蔵が我が家に住み着いた

しかし何年たっても何のりやくもない
「やい！　お前はどんなりやくのある地蔵なのだ？」
「うむ。山中で道に迷い、空腹で倒れそうなとき。行きついたのがたまたま山賊の家だったとき。そしてその山賊が食べきれない位のそうめんを食べさせようとした、そんなとき」
「そんなとき？」
「わしが代わりに食べてやる」
「なるほど」
限定的すぎて全く使えない
頭を抱えてしゃがみこむ
「そうめん食べろ。さっぱりするぞー」
そうめん地蔵はカラカラ笑った