ほしがりさん
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「それ、ちょーだい」
夕方、公園で遊んでいると、5歳ぐらいの男の子にそう声を掛けられた。それ、とさした指は、僕の持つトレーディングカード。
レアだからダメって言おうとした、けど、その子があまりにボロボロの服を着ていたので、「1枚だけね」と言って、カードをあげた。
「それ、ちょーだい」
またあの子。今度は僕の買ったソフトクリーム。またかと思ったけど、あまりにガリガリな身体を見て、思わず差し出した。
交通事故に遭った。正直、もう助からないらしい。今はかろうじて植物状態、それも、いつまで持つか分からない。
「おにーちゃん」
ふと、あの子の声がした。
「おにーちゃん、いっぱいくれたから、ぼくもあげる」
そう言った次の瞬間には、男の子はいなくなった。
僕は次の日目を覚まして、医者や両親に「奇跡だ」と言われた。
退院して、またあの公園へ向かう。
その男の子と会うことは、二度と無かった。
夕方、公園で遊んでいると、5歳ぐらいの男の子にそう声を掛けられた。それ、とさした指は、僕の持つトレーディングカード。
レアだからダメって言おうとした、けど、その子があまりにボロボロの服を着ていたので、「1枚だけね」と言って、カードをあげた。
「それ、ちょーだい」
またあの子。今度は僕の買ったソフトクリーム。またかと思ったけど、あまりにガリガリな身体を見て、思わず差し出した。
交通事故に遭った。正直、もう助からないらしい。今はかろうじて植物状態、それも、いつまで持つか分からない。
「おにーちゃん」
ふと、あの子の声がした。
「おにーちゃん、いっぱいくれたから、ぼくもあげる」
そう言った次の瞬間には、男の子はいなくなった。
僕は次の日目を覚まして、医者や両親に「奇跡だ」と言われた。
退院して、またあの公園へ向かう。
その男の子と会うことは、二度と無かった。
その他
公開:21/09/29 10:51
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