コーヒーの泉職人

2
2

ある朝、淹れたてのコーヒーをいつもと違う琥珀色のマグカップに注ぎ、いつもの椅子に腰かけた。
両手でカップのぬくもりを感じつつ、椅子にもたれて両目を閉じると広大な砂漠が浮かんできた。
オアシスの一本の大きな木のそばで砂を採掘する青年の後ろ姿が見えた。
背の高い、小麦色の顔をした優しい目のこの青年は何を掘っているのだろう?
と、その時大きなシャベルがやや硬い岩盤を叩き割った。
すると、琥珀色の水が湧きあがった。
湧きあがった水は、みるみるうちに泉となり、いい香りが立ちこめてきた。
青年はカップにその水を入れて、香りを楽しみ、そしてゆっくりと飲み始めた。
笑顔がこぼれた。すると、人が集まって来た。
この泉のいい香りを嗅ぎつけた付近の村人たちが琥珀色のマグカップを持って来た。
すでに数十人列をなしていた。
傍のテントには“コーヒーの泉”の看板が見えた。
彼はさすらいのコーヒーの泉職人であった。
ファンタジー
公開:21/09/29 07:13

ひまわり広場( 神奈川県川崎市 )

産婦人科専門医/指導医
@sanadakuma
tama-himawari3w.com
身体は日々の食事で出来ている。
妊婦さんにも食事の重要性について情報提供しています。
ダイエット中の方々にも食事・睡眠・運動の重要性について情報発信しています。
自身が「愛着障害」であることに気付き、もう一人の自分と上手に共生しています。
自分が、自分の『安全基地』になることが生きていくための拠り所なのかもしれない。
科学的な視点からの表現も交えて、ショートショートストーリーを作っています。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容