最高のおもてなし

妻が猫達からもてなしを受けている。
縁側に座り、猫達が持ってくる草餅やお茶を口にしては、猫の話に頬を緩ませている。
ふわぁ…と大きなあくびをすると猫みたく丸くなる妻。もう６０年か…こんな儂とよく一緒にいてくれたものだ。
猫達はそんな妻が風邪を引かないようにとそっと寄り添った。私もその中の一匹として、そっと妻に寄り添う。
はて…儂はいつ猫になったのだろう？儂は人だったはずだ…ああ、これは夢だな。そうと分かると徐々に夢から覚めていく-

目を覚ました儂は肩と膝に重みを感じていた。
縁側でつい転寝をしてしまっていたようだ。温かな日差しの中、睡魔に負けたようだ。
そっと横を見る。妻が私の肩にもたれかかり、すやすやと眠っている。
そっと下を見る。猫がくぅくぅと寝息を立てている。これじゃ動くに動けないな。
仕方がない…今だけだぞ。
（ふふ…照れてる照れてる。猫さん、現実でも最高のおもてなしをありがと）