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「たまには他のを食べればいいのに」
彼女のこの台詞をもう何度聞いただろうか。
「だって好きなんだから仕方ない」
僕もこの返事をもう何度返しただろう。
やがて運ばれてくる料理。このおさげの店員も何度見たことだろう。
二人静かに箸を動かす。
そろそろかな?
「どう?今日もいつもの唐揚げ定食のお味は?」
ほら来た。この台詞、お決まりの台詞だ。
「チンするやつより旨いよ」
そういう俺もやっぱり同じ事言ってら。それよりも▪▪▪。
「もう何年になるかな君と出会って。東京特許許可局で君を初めて見たあの日。いつもの定食屋ですまないが、僕は幸せだ」
よし言えた。
「あら、ありがとう嬉しいわ」
「でも見なよ隣の客。彼も牡蠣フライ定食をよく食べてる。まさに隣の客はよく牡蠣きゅう▪▪▪」
「カット!困るなもうテイク12だよ?」
「すみません▪▪▪」
そしてまた始まるあの台詞。
「たまには他のを食べればいいのに」
その他
公開:21/09/26 12:39
更新:21/09/26 18:27

セイロンティー( Cherry Blossoms island の傍 )

初めまして。昔から小説を書くのが好きでした。ショートショートの魅力に取り憑かれ、日々ネタ探しに奔走する毎日です。
小説のコンセプトは【ドアノブの静電気くらいの刺激を貴方に】です。
皆様、どうぞ宜しくお願い致します。

※ツイッター先にて小説家になろうへのリンクあります。そちらで長編ミステリーコメディーを書いています。よろしければ、こちらもよろしくお願いします。

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