図書館の司書さくらさん

0
1

毎日通う図書館の司書さくらさんは忙しい。
開館中より、むしろ閉館中の方が忙しい。
日中、机や本棚に散乱した本、雑誌、文献などを的確に元通りにしている。
閉館中の忙しいさくらさんに一度だけ声を掛けたことがある。
「僕にも手伝わせて下さい。」
さくらさんは笑顔でこう答えてくれた。
「もっと、もっと読書や調べ物をして散らかして下さい。」
(もっと、散らかせって・・・。)
これ以上話し掛けられないぐらいに、寸分たがわず本棚に整理するさくらさんを
僕は茫然と立ちすくんで眺めるだけであった。
翌日も図書館へ行くと、元気なさくらさんがいた。
僕らは、起きている間にたくさんの情報を脳にインプットしている。
実は僕の場合、寝ている間に、さくらさんが脳内のカオスな情報を整理してくれていた。
だから、僕はさくらさんを手伝う事は出来ないのだ。
(いつも、ありがとう)
と寝る前、さくらさんに昨日より深く感謝した。
ファンタジー
公開:21/09/26 10:20

ひまわり広場( 神奈川県川崎市 )

産婦人科専門医/指導医
@sanadakuma
tama-himawari3w.com
身体は日々の食事で出来ている。
妊婦さんにも食事の重要性について情報提供しています。
ダイエット中の方々にも食事・睡眠・運動の重要性について情報発信しています。
自身が「愛着障害」であることに気付き、もう一人の自分と上手に共生しています。
自分が、自分の『安全基地』になることが生きていくための拠り所なのかもしれない。
科学的な視点からの表現も交えて、ショートショートストーリーを作っています。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容