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とある南国の離島を旅した時のこと。岬のそばで美しい入り江を見つけ、浅瀬に飛び込んだ。ひと泳ぎした後、近くの茅葺きの小屋でココナッツジュースを飲み、シャワー室を借りた。「少し変わったシャワーだけど、もし困ったら声かけて」と店員は言った。
シャワー室のドアを開けると床から一本の蓮の茎が天井近くまで伸び、大きな蓮台ーー花が咲いた後に姿を現す蓮の実が詰まっているやつだーーが上から見下ろしている。確かにシャワーヘッドのようだ。でもレバーも見当たらないし、使い方がわからない。試しに茎を揺らしてみると蓮台の無数の穴から勢いよく水が吹き出してきた。見かけによらずけっこうな高圧だ。これぞ天然のレインシャワー。あー、気持ちいい。え、痛たた。ちょっと待って。おかしいぞ。
見上げると水に混じって蓮の実があられのように降ってきた。素っ裸のまま逃げるように外に出る。それ以来、シャワーが少し苦手になってしまった。
シャワー室のドアを開けると床から一本の蓮の茎が天井近くまで伸び、大きな蓮台ーー花が咲いた後に姿を現す蓮の実が詰まっているやつだーーが上から見下ろしている。確かにシャワーヘッドのようだ。でもレバーも見当たらないし、使い方がわからない。試しに茎を揺らしてみると蓮台の無数の穴から勢いよく水が吹き出してきた。見かけによらずけっこうな高圧だ。これぞ天然のレインシャワー。あー、気持ちいい。え、痛たた。ちょっと待って。おかしいぞ。
見上げると水に混じって蓮の実があられのように降ってきた。素っ裸のまま逃げるように外に出る。それ以来、シャワーが少し苦手になってしまった。
ファンタジー
公開:21/09/25 20:18
更新:21/09/25 20:24
更新:21/09/25 20:24
南国
ファンタジー
シャワー
2022年から米国在住。
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