最高のおもてなし

幼い頃、体の弱かった私に母はよく深米で作ったおかゆを食べさせてくれた。
深米とは深層心理である気持ちを込められる透明度の高い米である。込める気持ちによって炊いた時の米の色が変化するので嘘がつけない。
母が炊いてくれる米は『家族皆健やかに過ごせますように』と真っ白な願いが込められてある。おかゆにするとさらに白さは増し『早く元気になってね』と口に含む度に気持ちが伝わってくる。
その気持ちが嬉しくて、食欲が余りない時だっていつも完食していた。

優しい母のような人になりたい。そう思った私は看護師になる道を選んだ。
今日も体と心が弱っている患者さんに深米で作ったおかゆを食べさせてあげる。口周りと零れる涙をしっかりと拭き取ってあげる。
そんな私の看護は「最高のおもてなし」と呼ばれていた。
だから患者さんは回復に向かうにつれ少し寂しそうな顔もする。中には子どもみたく仮病を使う人もいて少し笑ってしまう。