金魚

小さなガラスの器を飾りつける。
キラキラの小石や、水草、その他、愛し子が望むもの全てで。

「ほぅら、今日からここが君の家だよ」

そう言って器に入れてやれば、きょろきょろと控え目に見回した後、すぐに元気に泳ぎ出す。
真っ赤なおべべに身を包む、小さな愛し子。

「足りないものは何でも用意してあげる」

だからいつまでも、元気で、愛らしくいておくれ。



宝石で飾り付けられた壁、与えられた玩具や絵本、真っ赤なおべべ。
何不自由無く過ごせる、小さな世界。
けれど、その子が自分から外に出ることだけは許されない。

「外は危険だからね。君は外に出たらきっとすぐに死んでしまうよ」

小さな世界で飼い殺される幼子の姿は、彼にはただの一匹の金魚にしか見えていない。