黒トリュフ

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2時限目の終盤。
隣の席の白田君は、いつも寝ている。
必ず、寝言も言う。また食いしん坊でもある。
今日の寝言は「この川幅うどん、日本一だな。」
(マニアックな夢だな。)
白田君の口癖は、「これって、食えるかな?」
基準は食べられるかどうか。
なぜか目の奥に白田君の遠い祖先が見えてきた。
我々の祖先達は毎日が飢餓との戦いであった。
食べ物を得るため、何日も彷徨い続けていた。
その中で、ジッと何かを見つめる少年がいた。
「どうした?」と仲間が声を掛けると、
「あの、根っこの土の中に何かあるよ。」と白田君の祖先の左人差し指が差す。
二人が近づいた。
掘ってみると、ピンポン玉の大きさの黒い塊が出てきた。
「いい香りがするね。これって、食えるのかな?」
「・・・、虫の糞だな。」と仲間は言った。
白田君の祖先は食べようか大いに迷ったが捨てた。
黒トリュフだったかはわからないが、遺伝子は継承された。
ファンタジー
公開:21/09/27 06:43

ひまわり広場( 神奈川県川崎市 )

産婦人科専門医/指導医
@sanadakuma
tama-himawari3w.com
身体は日々の食事で出来ている。
妊婦さんにも食事の重要性について情報提供しています。
ダイエット中の方々にも食事・睡眠・運動の重要性について情報発信しています。
自身が「愛着障害」であることに気付き、もう一人の自分と上手に共生しています。
自分が、自分の『安全基地』になることが生きていくための拠り所なのかもしれない。
科学的な視点からの表現も交えて、ショートショートストーリーを作っています。

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